加賀百万石の城下町として栄えた金沢。その中心部からほど近い長町武家屋敷跡(ながまちぶけやしきあと)は、江戸時代の面影を色濃く残すエリアです。
風情ある町並みを歩くだけでも心がときめき、フォトジェニックな写真を撮ったり、散策したりと楽しめます。
「武家屋敷って、歴史を知らないと敷居が高い?」と思う人もいるかもしれません。
結論からいうと、歴史をよく知らない人でも楽しめます。
でも歴史を知れば、間違いなくもっと楽しめるようになりますよ。
今回は、武家屋敷めぐりをもっと楽しむ方法をご紹介します。
武家屋敷のある長町で、創業220年の歴史を持つ九谷焼の老舗窯元「鏑木商舗」が紹介するこの記事を読めば、武家屋敷の見どころやおすすめの楽しみ方がすぐにわかります。
歴史背景を知り、伝統の美しいアート作品を眺めたり、風情ある小路を散策しながら金沢の美食をたしなんだりすれば、短い時間でも金沢旅行を満喫することができますよ。
この記事では、加賀百万石の歴史が息づく武家屋敷の見どころと、鮮やかな色絵が魅力の九谷焼が楽しめる武家屋敷の穴場スポットをご紹介します。
これから金沢旅行に来るという人は、ぜひ参考にしてみてくださいね。
長町武家屋敷跡は、金沢の中心部である香林坊や片町といった賑やかなエリアからすぐ近くにあります。
江戸時代の雰囲気が残る、文化的で風情ある金沢屈指のフォトスポットです。
長町の伝統保存地区エリアに足を踏み入れた瞬間、目に飛び込んでくるのは、黄色い土塀(どべい)と石畳の小道。どこを切り取っても絵になる風景が広がっています。
ここは、かつて加賀藩の中級武士たちが暮らしていた場所です。
加賀藩といえば、大河ドラマでもおなじみの武将「前田利家(まえだとしいえ)」が治めたことで有名。前田利家は戦国時代を代表する武将の一人として、織田信長や豊臣秀吉に仕え、数々の戦で功績をあげました。
利家が築き上げた加賀藩は、百万石もの豊かな石高を誇り、江戸時代に大きく繁栄します。その前田家に仕えた多くの武士たちは、現在の金沢の城下町に暮らしていました。武家屋敷や庭園が公開されている「長町武家屋敷跡」では、当時の豊かな加賀文化の中で暮らした武士の暮らしぶりを体験できます。
それではさっそく、武士たちの生活を体験してみましょう。
長町武家屋敷跡には見どころがたくさんあるので、どこを見ればいいか迷ってしまいますよね。
ここでは武家屋敷の中でも特におすすめしたい見どころを3つご紹介します。
当時武士は、下級・中級・上級と、位によって住む場所が決められていました。そのため城下町の中でも住まいが異なっています。
今回は、下級・中級・上級の順で金沢藩士の有名な武家屋敷をご紹介していきます。
最初に見ておきたいのは、下級武士である足軽の生活をの垣間見ることができる「足軽資料館」です。足軽屋敷は長町武家屋敷跡から徒歩5分、金沢駅からバスで10分の場所に位置しています。
現在、足軽屋敷は2棟移築されており、「高西家」では足軽について、「清水家」では日常生活についての展示が見られます。
加賀藩の足軽屋敷の珍しい点は、一戸建てに住んでいたということ。
足軽といえば、長屋暮らしが一般的です。
このような屋敷の違いからも、加賀藩は足軽の待遇も良かったということがわかります。
次にご紹介したいのは、中級武士「高田家」の門構えです。
立派な門をくぐると、広々とした庭園があり、池や築山、石灯籠などが配され、四季折々の景色を楽しめます。奉公人のお部屋や、馬屋なども残っているので、中級武士の豊かな生活環境を垣間見ることができますよ。
武家屋敷跡を見るなら絶対に見逃せないのが「野村家」です。
野村家は前田利家が金沢城に入城した頃からの直臣で、廃藩まで11代に渡って、御馬廻組組頭(おうままわりぐみ・くみがしら)や各奉行を務めた名家のお屋敷。
見どころは、なんといっても美しい庭園です。庭園内には大野庄用水から引かれた曲水が流れ、その周りには古木や奇石などが絶妙に配置されています。
また、格式高いお屋敷の中も見学できます。藩主を招くための「上段の間」には、加賀藩お抱えの絵師が描いた、見事な襖絵が見られるほか、細部までこだわった装飾や調度品も必見です。
数寄屋建築の茶室「不莫庵(ふばくあん)」では、お抹茶と干菓子をいただくこともできます。
静寂な空間でゆったりと一服すれば、日常を忘れ、贅沢なひと時を楽しめますよ。
長町武家屋敷は訪れる季節によって、季節ごとの美しさがあります。いつ訪れても四季折々の景色を楽しむことができるので飽きることがありません。
今回は特におすすめな夏と冬の見どころをご紹介します。
武家屋敷のすぐそばを流れる「大野庄用水」は、金沢で最も古い用水とされています。
大野庄用水は金沢城築城の際に木材を運ぶために利用され、金沢の人々の生活に深く根付いているのです。この水路沿いを歩いて行くと、武家屋敷の町並みを効率的に回ることができます。
風流な水のせせらぎを聞きながら、土塀沿いをのんびり散策すれば癒されること間違いなし。夏にはホタルが見られることもありますよ。
もし、冬に金沢を訪れるなら、冬の風物詩「こも掛け」と「雪吊り」は絶対に見ておきましょう。兼六園の雪吊りが有名ですが、長町武家屋敷でも見ることができますよ。
「こも」は雪による土塀(どべい)の損傷や土剥がれを防ぐためにあります。武家屋敷の土塀にずらりと並ぶ様子は、金沢ならではの風景です。
「雪吊り」は、木の枝が雪の重みで折れないように、縄で吊るすこと。雪吊りできれいに雪化粧した庭園は、ふだん写真を撮らない人でも思わずスマホを出して写真に納めてしまうほどの美しさです。
引用:鏑木商舗HP
武家屋敷を散策していると長町武家屋敷の通り沿いに、趣ある店構えのお店が並んでいるのが目に留まります。創業220年の老舗、鏑木商舗があるのもこの長町武家屋敷のエリア。のれんをくぐると、色とりどりの九谷焼の世界があなたを迎えてくれますよ。
ここからは、武家屋敷を散策する際におすすめな九谷焼の老舗鏑木商舗の店舗をご紹介していきます。
引用: 金沢九谷ミュウジアム
「金沢九谷ミュウジアム」は、鏑木商舗の歴史と貴重な九谷焼コレクションを展示する、九谷焼の博物館です。見惚れてしまうような細かい細工や、美しい色使いの模様がなされた名品の数々を眺めていると、気が付けば九谷焼の奥深い世界にどっぷり浸っていた…なんてことも。
伝統工芸品や美術品をしっかりと堪能した後は、お買い物も楽しみましょう。
展示スペースの隣には、普段使いできるうつわから、美術品クラスの作品まで、幅広い九谷焼が並んでいます。店員と話しながら、お気に入りの一品を探すのも楽しい時間です。
金沢旅行の思い出に、自分へのご褒美に、大切な人への贈り物に。豊富な品ぞろえの中から、あなたにぴったりの九谷焼が見つかるはずです。
「おいしいいっぷく鏑木」は、金沢九谷ミュウジアムに併設のカフェレストランです。ここでは、九谷焼のうつわでほっと癒される金沢のおばんざいや、写真映えするスイーツをいただくことができます。
加賀野菜や、日本海の新鮮な魚介など、地元の食材をふんだんに使い、一つ一つの素材を活かして丁寧に調理された料理は、どれも絶品。見た目も美しく、体にも優しい、心もほっこり温まるメニューばかりです。
引用:おいしいいっぷく鏑木
喫茶メニューも充実しているので、散策途中の休憩にもぴったり。お庭を眺めながら、ゆったりとくつろぎの時間を過ごせます。
九谷焼のうつわの美しさを、目で、舌で、そして手触りで楽しむことができます。
引用:春日山窯木米庵
金沢九谷ミュウジアムから3軒隣に行くと「春日山窯木米庵」があります。春日山窯木米庵は、工房とショップが一緒になったお買い物スポット。
ここでは、自社工房で作る鏑木ブランドの九谷焼をはじめ、人間国宝など有名作家の作品から、普段使いできる九谷焼まで、幅広く取り揃えています。
店内には、鏑木ワイングラスが一面にディスプレイされた棚や、おしゃれな照明、古民家から再利用した立派な梁など、見どころがたくさん。
美術館のような空間で、ゆっくりと美しい九谷焼の世界を堪能できますよ。
お天気の良い日には、庭でミニ茶わん祭が開催されることも。九谷焼や金沢の歴史に詳しくない人でも、ここに来れば金沢の歴史や文化に気軽に触れることができます。
人とは少し違う“文化的でツウな旅”をしたい人におすすめなスポットです。
引用: かぶらきでしか買えない
加賀藩の歴史と文化が息づく、長町武家屋敷跡。
風情ある街並みを散策しながら、武士たちの暮らしに思いを馳せ、歴史と伝統を肌で感じながら、美味しい食事を食べて、日頃頑張っている自分へのご褒美をプレゼントしましょう。
引用: 金沢九谷ミュウジアム
この記事で紹介した武家屋敷のある長町通りにある創業220年の九谷焼の老舗窯元、鏑木商舗では、武家屋敷ツアーを開催しています。
武家屋敷の風情を感じながら、記事だけでは書ききれなかった九谷焼の歴史や魅力をさらに詳しくご案内。普通の旅行とは少し違う、上質な大人の旅時間を過ごしたい人はきっとご満足いただけるはずです。
ご夫婦や、ご友人と、もちろんお一人でも大歓迎。ぜひ申し込んでみてくださいね。